岩手県山田町で防災授業を実施しました(2/21更新)

 岩手県山田町にて展開している「三陸リアス サステナブルプロジェクト in 山田町」の一環として、2月7日(水)?8日(木)の2日間、町内の児童や生徒を対象としたまちづくりと防災に関する教育授業を実施しました。

 山田町は2011年の東日本大震災当時、防潮堤をはるかに越える大津波や、その後の大規模な津波火災によって甚大な被害を受け、近年では台風などの豪雨による被害も頻発傾向にあります。今回は町立山田小学校5年生児童69名および町立山田中学校2年生生徒99名を対象に行いました。
 講師を務めたのは、同中学校卒業生の堀合紳弥さん(黄金城官网_黄金城赌城-赌博网站大学院社会基盤工学専攻博士後期課程3年)です。災害の中でも特に山田町に関わりのある地震?津波や豪雨について説明したうえで、同町が現在の街並みまで復興した過程を紹介。ペーパークラフトを用いた耐震実験や、2024年能登半島地震でも発生した液状化現象について、数学や理科の知識を織り交ぜながら、実験装置を使用して体験しました。また、建設技術や数値解析技術も紹介し、土木や建築の職業がどのような防災対策とまちづくりに取り組んでいるかを解説しました。さらに、災害時の人間心理や避難行動について解説し、いざという時に命を守るための知識についても説明。最後に、〇×の手上げ形式によるクイズで学習成果を確認し、授業のまとめとしました。
 授業内では、建築?土木工学コースの外里健太助教(同県久慈市出身)が取り組む豪雨による土砂災害の発生予測に関する研究や、防潮堤壁画制作プロジェクトに地元業者としてご協力いただいている佐々総業株式会社様より、自社で手掛ける実際の施工事例や災害対応、就労支援事業などもご紹介いただきました。

 参加した児童?生徒たちは、「災害について詳しく知れた」、「昔山田町で起きた災害について知ることができた」などと振り返りました。千島海溝?日本海溝沿いを震源とする地震により、大津波の襲来が想定されている山田町。2011年東日本大震災を知らない世代が成長し、三陸沿岸地域で生活するうえで、自分の命や大切な人の命を守ることを考える、良いきっかけとなったようでした。

 講師を務めた堀合さんは、東日本大震災以降に生まれたり当時の記憶が曖昧だったりする子でも、防災への関心は強いと感じたそう。「直近で能登半島地震が起きたこともあり、今回の授業が防災について再確認の機会になれば」と意識を高めてくれることを期待しています。また中学校では、数学や理科の内容も交えて解説したそうで、日頃の学習が防災や日常生活と結びつくことを感じてもらえる授業になったようです。

(2024年2月16日 掲載)

●2024年2月11日(岩手日報)
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(岩手日報社の許可を得て掲載しています。)

(2024年2月21日 更新)